拮抗二関節筋と両端の拮抗一関節筋（計3対6筋）が協調することで、四肢先端の最大出力分布は六角形を示します。これは、従来の関節トルク理論（二関節筋を無視）では四角形となり、生体本来の特性を表現できません。

一本下駄GETTAの歯の位置と高さにより、踵が浮いた状態でバランスを取ることで、二関節筋である大腿直筋、ハムストリングス、腓腹筋が協調的に働く動作パターンを自然に習得します。

ジャンプの着地時、アキレス腱は引き延ばされて弾性エネルギーを蓄積し、跳躍時にそのエネルギーを一気に解放します。この機構により、筋肉だけでは発揮できない大きな力を生み出し、エネルギー効率が向上します。

GETTAの設計により、踵からの着地を促進することで、アキレス腱を含む下肢の腱に適切な伸張刺激を与え、腱のバネ機能を活性化します。腓腹筋の筋活動を軽減しながら、腱の優位性を高めます。

主要な筋膜ラインには、スーパーフィシャル・バック・ライン（SBL：後面）、スーパーフィシャル・フロント・ライン（SFL：前面）、ラテラル・ライン（LL：側面）、スパイラル・ライン（SPL：螺旋）、ディープ・フロント・ライン（DFL：深層前面）があります。

一本の歯での不安定な接地により、足底から頭部まで連続する筋膜ラインが統合的に活性化されます。特にTOTONOEモデルでは「テンセグリティ×アナトミートレイン構造によって立ち止まるなかで整う」設計が施されています。

小脳はバランス制御、運動学習、タイミング調整を司ります。一本歯下駄の不安定な状態でのバランス維持が小脳を極限まで刺激し、身体知性（センス）を向上させます。「2分間」の神経可塑性トリガーとして機能します。

体幹深層に位置する大腰筋は、股関節屈曲と腰椎安定化に関与し、「才能（技術習得スピード、キレ、テクニック、しなやかさ）獲得に最も関係する筋肉」とされています。

固有受容感覚とは、視覚に頼らずとも、自己の身体各部の位置や動きを感知する能力です。研究により、固有受容感覚トレーニングが運動機能を平均52%も改善させることが示されています。GETTAは、この身体の内部GPSの精度を高めるツールです。

身体は、骨や関節、筋膜によって連結された一つの「キネティックチェーン（運動連鎖）」です。土台である足の僅かな機能不全は、ドミノ倒しのように全身に波及します。GETTAは、この連鎖の始点である足裏に働きかけることで、全身の連携を根本から再構築します。

文化身体論

Reviving Lost Japanese Body Culture

西洋化により失われた日本の身体文化。能楽、武道、伝統的道具に宿る身体技法を、現代に蘇らせる文化的装置としての一本歯下駄。文化が失われれば、身体も失われる。しかし身体を取り戻せば、文化も蘇ります。